肩に乗って身体を震わせている、ルトに目をやった。




ルトだけでも助かってほしい---


そう思いルトの身体をそっと掴んだ。




「キュッ」



ダメだ…


キュッと洋服を掴んでいて、私の傍から離れないようとしない---




私がこの世に誕生してからずっと一緒にいる、幻獣ヨークァ種のルト。


いつもは少し尖った長めの可愛らしい耳をパタパタと動かしながら、クリクリお目々を私に向けてくれるのに…



今はその瞳もギュッと閉じている。



身体全体がオレンジに近い黄色であるネーブルスイエロー色の綺麗な毛並みが、今は灰まみれだ。


そしてそのお尻に可愛らしく鎮座している三本の尻尾も、今は恐怖に震えている。




逃げようと思えばルトだけでも逃げられるのに---