「何をしている闇黒竜よ。早くそれを放て」
「グォォォォ…」
今だに闇黒竜の口から見える眩しいほどの炎はそのままに、苦しげに呻き始める。
闇黒竜の漆黒のその瞳がまるで私に何かを訴えかけるような気がして、どうしても目が逸らせなかった。
『アイリーン…』
この声は…、
まさかそんな?
「ルーファス…、お兄さん?」
不安げに眉を寄せた時、耳心地良い男性の声が自分の額に埋め込まれた石から聞こえてきた。
そしてその声は…、
昔、私の額に黒い石を埋め込んだルーファスお兄さんだった。
忘れてはいないその人の姿が今もなを、何故か色鮮やかに思い出すことが出来る。
こんな状況だと言うのにとても落ち着いたその声に、激しく動いていた私の鼓動が徐々に治まっていった。
それにしても何故、こんな時にルーファスお兄さんの声が聞こえてきたの?



