それから、
一応…二人にとっては「思い出の場所」となった緑色の歩道橋の下で
結衣と浩二はよく待ち合わせをした。
登り口の側には歩道をはさんで地元で「美味しい」と評判のパン屋があり、
その隣にはコンビニもある。駅からも程よい距離にあって駅前公園の側にあるこの歩道橋の付近は待ち合わせ場所に使う者が多い場所だった。
その日はあいにく朝から雨が降っていた。暗く重い空はどんよりと雲に覆われていた。
予報では午後には雨は止むと言われてたのに、
夕方近くになっても、まだ小降りが続いていた。
「明日、久しぶりに正樹の見舞いに行かないか?」
傘から顔を覗かせた浩二からの誘いに結衣は
「そうだね…先月行ったきりだもんね。」
正樹も浩二と同じく、結衣とは小学校からずっと一緒だった。
もともと病気があって、丈夫な印象はなかった彼が、
3か月くらい前から入院してしまい、
2人は何度か彼のお見舞いに行っていたが、
正樹の病状が決して楽観できないことを2人は、なんとなく分かっていた。
でも、そのことにはお互い触れることはなく、
いつもどちらかが今日みたく
「見舞いに行こう」と言いだしては正樹の病室を訪れていた。
「俺、母親が小さいときに死んじゃったから、なんとなく病院の空気って落ち込んじゃうんだよな…」
普段、浩二はあまり死んだ母親の話を結衣の前ですることはない。
でも、結衣は浩二が母親のことが大好きだったのを感じていた。
そんな母親を病気でなくしていたからか、正樹に対しても浩二はひどく心配していた。病院へ彼の見舞いに行くときは、なんとなくいつものおどけた明るい浩二とは少し違うような雰囲気を結衣は感じていた。
小降りだった雨が止んだようで、二人はさしていた傘を閉じて、
待ち合わせた歩道橋から近い公園の近くを歩いていた。
すると


