小野寺の話は続いた。 「様子見に行ってやらなきゃいけない俺が熱だして寝てたもんだから、 アイツの最期はひとりぼっちにしてしまったんだ。 それでね…これは後で聞いたんだけど、 その犬が死んだ朝、 そいつの口元には… 俺が忘れていった手袋があったんだって…」 奈津美は黙って小野寺の話を聞いていた。 「だから、犬を見てると今でも切なくなっちゃってね…」 照れくさそうに笑う小野寺に奈津美は思った。 私、このひとの彼女になりたい!