アイドル様の秘密【上】

〝ガラッ〝

いつものように教室の扉を開ける。

当然、挨拶などない。

聞こえるのはたらい回しの噂話だけ…。

(また後ろに誰かいるよ…)

(いつも人変わるよね…)

(自分が偉いとか思ってるのかな…)

(この前俺の友達があいつエンコーしてるって言ってたぜ?)

(えー…やだぁ…じゃぁ汚れてるってこと??)

「お嬢…」

元都が心配して小声で聞く。

「大丈夫。元はここで待ってて。」

飛沙は一度荷物を置いて噂話をしている女子達のもとへ向かった。

「おはよう。」

笑顔で言う。

「あ、お…おはよう…」

一人の女子が挨拶を返す。

(ば、ばか!!何されるかわからないじゃん!!)

「別に何もしないよ。」

飛沙はサラッと言う。

「き、聞こえてたの…?」

「うん。ずっとね。エンコーなんてしてないし、

自分を偉いなんて思ったことないよ。」

飛沙は大きな声で言った。

周りからはざわざわを声が聞こえる。