「下に車待たせてるから早く準備してね。」 灰夜はそう言って降りていった。 「えっ?ちょっ……灰夜!?」 いつも言いたいことを言えば先に行ってしまう。 下に降りていく灰夜を見つめ今まであの大きな背中に守られていたんだな。 なんて気づかされた気がした。 幼い頃からそうだった。 いつも大きな灰夜の背中を追い求めて灰夜を探していた。 追いついたと思えばまた先に行ってしまう。 後ろを向いて手を指し伸ばしてくれることなんて一度もなかった。 ただ…黙って待ってくれていた。