木下葵。
名前だけ見たら男にも女にも見えるこの名前。
成長し過ぎてしまった身長、生まれてこのかたずっと保ち続けているショートカット、キリッとした目つき。
この容姿のせいで私はよく男の子に間違われる。
学校でも、制服でスカートを履いているからこそ見間違われることはないが、これが体操着を着てしまうともう見分けがつかない。
普通の女の子がそんなことをされたらきっと傷付くだろうし、私は絶対に間違えないようにしようと思っている。
でも、私は違った。
男の子に間違われるとすごく嬉しい。
それが異常なことなのかもしれないが、私は男の子だと言われることに非常に快感を得ている。
そして、私は思う。
…男になってみたい。