「ごちそうさま。圭太、お皿洗っといて、あたしお風呂入るから。」


ご飯を食べ終わり圭太にそう告げた私はお風呂場へ向かった。
後ろから文句を言う圭太の声が聞こえてくるがアイツの事だから文句を言いながらもやってくれるだろう。

そしてお風呂に入り色々考えた。


「何でこんなに悩まないといけないんだろ。」


そんな言葉を吐き捨てたら鼻の奥がツーンと痛み堪え切れなくなった涙が溢れ出して来た。

白木がわからない。
梓ちゃんがわからない。
でもここで逃げちゃダメなんだ。
あたしはすぐに逃げ出してしまうからダメなんだ。


「だから、明日ちゃんと話そう。」


湧き上がる湯気と共にあたしの声が小さく響いた。
この難しい問題の解決方法はちゃんと向き合って話す事だ。
そうだよね、きっと。

・・・-


「お母さん、昨日何時に帰ったの?」


朝食をとりながら洗い物をしているお母さんに問いかけた。
実はあれからお風呂からあがると爆睡してしまい、お母さんとお父さんが帰った事など知らなかったのだ。


「11時ぐらいかしら?夜はお父さんとコンビニ弁当よ。」


そう笑いながら言うお母さんにあたしもつられて笑ってしまう。
そして制服に着替え明るく家を出た。

“よし”と小さく自分に気合を入れ学校へと向かう。
白木とも梓ちゃんともちゃんと話すんだ。
そう誓ったあたしは何だか昨日の自分とか全く別人の様に思えた。


「山村、おはよー。」

「あ、神崎!おはよう。」


後ろを振り向けば笑顔の神崎があたしに向かって走ってきた。


「昨日、あれから腹痛くならなかったか?食いすぎてたから心配だった。」

「え、あぁ。全然大丈夫だよ!ありがとう。」


すっかり忘れてた。そういえば神崎とスイーツ食べたんだった。