神崎はそんな恥ずかしい台詞をどうして言えるのだろう。
あたしは疑問で仕方なかったけど、今はその言葉が嬉しかったので神崎に笑顔を向けた。


「神崎、今のはちょっとヤバかった。」


「え?何が?!」


「ううん、何でもないよ。ばいばい、神崎!」


「え、ちょっと山村ー!」



神崎の叫び声を無視してあたしは玄関のドアを閉めた。


梓ちゃん、あたしわかった気がするよ。
どうして梓ちゃんが神崎を好きになったのか。

こんなんだと神崎に惚れちゃうよね。



だけどね、どんなに神崎がカッコ良くても、どんなに神崎が優しくても、どんなに神崎が慰め上手でも、あたしは白木じゃなきゃダメみたい。


どうしてだろうね、白木を嫌いになれたらいいのに。
白木なんて忘れてしまいたい。

でも、白木じゃなきゃダメなんだ。



白木の態度は冷たい。だけど好きなんだ。
涙が出ちゃうほど白木に夢中になっているんだ。


白木の表情、白木の言葉、白木の仕草、その1つ1つに惚れている。
嫌な所なんて1つもなくて全てが大好き。


そう思えるのはやっぱり白木だけで、白木だからこそそう思う。



一瞬でも神崎にドキッとしてしまったのは、きっと神崎にドキッとしたのではなく神崎の“言葉”にドキッとしたんだ。


・・・って、どうしてあたしこんなにも必死に自分に言い聞かせているんだろう。


あたしは白木だけ。
白木だけ・・・だよね?



男の子は良く分からない。
それと同じ様に男の子にとって女の子は良く分からないんだと思う。

どうしたら分かり合えるのだろう。
どうしたら男の子の気持ちを理解できるのだろう。