「いってきまーす。」


新学期が今日からスタートする。
久しぶりの制服はなぜか心地よくて早めに家を出た。



学校に早く行きたい訳ではない。
むしろ今の状態では学校には行きたくない。
だけど、早くから目が覚めていたあたしは新学期という事もあって早めに行く事にしたのだ。



白木とは普通に接する。
別れたからって赤の他人になった訳ではないのだから、これからは“友達”として白木と付き合っていこう。

これがあたしの出した答えだ。


いつまでもクヨクヨしていたら何も進まない。
また友達からのスタートだけど、頑張って白木と付き合える様になれば良い。
お互い嫌いで別れた訳ではないのだから、きっといつかまた・・・と秘かに期待を抱いている。



「山村・・・おはよ!」


もうすぐ学校、という所で突然声をかけられた。
振り向くと苦笑いをしている神崎の姿があった。


「・・・神崎。」


やっぱり神崎とは普通に接しれない。
夏祭りの時の光景が次々と頭の中を駆け巡る。


告白、そしてキス。
ダメだ。意識しない様にしても意識してしまう。



「山村、ごめん。祭りの時の事は忘れていいからさ。前みたいに山村と話たいし・・・。」


「うっ、うん。わかった、友達としてこれからもよろしくね?」


「おう!蓮にも謝らないとな。蓮に見られてなくても、人様の彼女に手出した訳だし。」



神崎は白木から別れた事を聞いてないのだろうか。
あたしと白木は昨日終わったんだ。
もし神崎が知らないのなら、ちゃんと言わなきゃ。



「・・・神崎、もう終わったんだ。白木とは別れちゃった。」