き み だ け




「あ、そうだ。光にこれ渡そうと

思ってたの」

「なにこれ」

「塾の先生から。レベルの高い大学を

目指すなら塾に戻ってこないかって。

高2の夏からでも。」

「少し考えてみるよ。ありがとう」

なんだかだんだん光弘が

遠くなっていく気がしてしまった。

「叶愛?どうかした?

さっきから全然話さないけど」

美華とわかれてからもなんだかずっと

引っかかってぼーっとしてしまっていた。

「あ、ごめん」

「そういえば叶愛ってどこの大学行くとか

決めてたりする?」

「一応M大とS大かな」

「国公立は目指さないの?」

「うん。私立のどこかかな」

「俺はさ一応国公立目指すつもりなんだ。

でも先生から今のままじゃ国公立は

厳しいって言われてるんだ。」

「じゃあ塾いくつもり?」

「元々行ってた塾だし行くなら

そこにするつもりだけど」

「…そっか」

進路のためなのにどうして

こんなにモヤモヤしてしまうの?

心狭すぎだよ。

「美華子のことなんか不安に

思ってたりする?」

「え、いや、そんなことない」

必死の作り笑いは痛々しかったかな。