き み だ け




「…ただいま」

「叶愛!?どうしたんだよ。

なんでそんなずぶ濡れなんだよ。

待ってろ、すぐタオルとってくるから」

…ごめんね航太。

また心配かけてしまったね。

ごめんね、こんな姉で。

本当は1人じゃ何もできないの。

いつでも陽平がそばにいてくれて

支えられてたの。

陽平がいない時は光弘がいつでも

いてくれたの。

…今はどっちもいないの。

「風邪ひくからすぐ風呂入れ」

「…ごめんね」

何も言わない航太の優しさが

伝わってきた。



お風呂から上がるとホットミルクが

リビングに置いてあった。

ガチャ

ソファに座ってホットミルクを

飲み出した時勢い良く玄関の扉が

空いた音がした。

「叶愛!!」

慌ててやってきたのは知夏だった。