数日後、テストも終わり
春からだんだんと夏へ
変わり出していたそんなある日。
今日は土砂降りの雨だった。
「叶愛」
「あれ、美華」
帰り際ロッカーでばったり
美華に会った。
「光は?」
「今日は学校休みなの。
昨日から風邪引いてるみたいで。」
「そーなんだ。じゃあ途中まで
一緒に帰らない?」
「うん」
美華と2人で話すのはいつぶりだろう。
なんだか少し緊張した。
「結構前の話だけどいい?」
「ん?なに?」
「もしもね私と陽平は別れたって
言ってたとしたら叶愛は光じゃなくて
陽平を選んでた?」
「…光弘を選んでたよ」
本当にそうなのだろうか。
あの時たしかにあたしは陽平に
揺れていた。
「…じゃあもし私が…」
土砂降りの雨のせいで
少し聞き取りづらかった。
「ごめん、
雨のせいで聞き取りづらいの。
もう一回言ってくれない?」
「もう例え話とかいらないよね」
「どういうこと?」
「私は光のことが好きなの」
…聞こえなければいいと思った。
聞き直さなければよかったと思った。
一番聞きたくなかった言葉。
