き み だ け





「…ただいま」

「ちょっと叶愛どこいってたの」

「…航太は?」

「部屋にいるんじゃない?」

さっき怒鳴ってしまった航太に

謝りたくて部屋の前で

ノックするかしないかためらっていた。

ガチャ

「うわ、なに」

「あ、ごめん」

「入れば」

久しぶりに航太の部屋に入った。

こんなにきれいにしてあったっけ。

「で、なに」

「さっきは怒鳴ってごめん」

「別に」

「いろいろ一気に起こりすぎて

すごいもやもやしてて

八つ当たりしちゃったの」

「なんとなくそんな気はしてた。

昨日のやつとはどうなったわけ」

「…振られた」

「…そ。よかったじゃん」

「…いいわけないじゃん」

「じゃあずっと嘘つかれたまま

付き合っていたかったわけ?」

「そーじゃない。

でも、ちゃんと話して

またやり直せればいいって

思ってたのに。」

「叶愛ってさ本気でそいつのことが

好きだったわけ?」

航太からの質問が理解できなかった。