き み だ け




「もうなんで来るわけ」

「光弘から連絡もらったから」

「こなくていい。1人にしてよ」

「昨日熱出したくせに振られて

公園でボーっとして。

ばかじゃねーの?」

「陽平に何がわかるっていうのよ。

別にばかにしたいならすればいい。

だからもう帰って」

「あっそ」

陽平はそのまま公園を出て行った。

陽平まで怒らせた。

八つ当たりがしたかったわけじゃない。

なのに最悪だ。

ごめん。

そのままベンチで泣き続けた。

泣いても泣いても涙は

止まらなくて頭が痛くなって

そのままベンチに横たわった。

「…おいこら、また風邪ひくだろ」

「…なんで」

怒って帰ったはずの

陽平が目の前にいた。

「寝るなら帰って寝ろ。ほら、帰るぞ」

そう言ってあたしの手を掴んだ

陽平の手はとても冷たかった。

「まさかあれからずっと

待っててくれたの?」

「当たり前だろ。」

そのまま立ち上がって公園をでて

陽平は家まで送ってくれた。

「…結構時間たってたのに

どこにいたの?」

「公園のそばの電柱の所」

「怒って帰ったと思ってた」

「俺がそんなことするとでも

思ったわけ?」

優しい顔で微笑んでくれた陽平をみて

安心してまた涙が流れた。