そのままぼーっと

公園のベンチで座っていた。

日がくれて寒さも厳しくなってきて

早く帰らないとまた風邪をひいて

しまいそうだった。

ブーブーブー

"着信 航太"

「…なに」

『何してんだよ。帰ってきたら家に

いねーし。寝てろって言っただろ』

「…うるさい」

『今どこだよ』

「…関係ない。ほっといて」

ただの八つ当たりだ。

心配してくれてただけなのに。

でも今は1人にしてほしかった。

気持ちの整理をしなきゃ

いけないのはわかってる。

でも受け止められない。

陽平のことを忘れてやっと幸せを

見つけたと思った。

光弘と一緒に入れることが

こんなにも幸せなんだって

思ってたのに。

自信がない?そんなのあたしもない。

…もーわかんないよ。

「叶」

「…こないで」

どうして陽平が来るの?

たまたま公園の近くを

通りかかったの?偶然?

もーどーでもいいよ。

みんなして。1人にしてよ。

「何で泣いてんの」

そんな優しい言葉を

かけるなんてずるい。

だから緩んで涙が出てくるんじゃない…