「明日陽くん来るの」
「へ?」
「陽くんは来ないの?」
「陽平は来ないよ。
今ボストンにいるから」
「ボストン?」
「留学してるの」
「そーなんだ。残念だね」
「こっちにいても一緒に
クリスマスすごすことは
なかったから一緒だよ」
「もう陽くんのことなんとも
思ってないの」
「何よ急に」
「新しい彼氏は前に叶愛を
病院に連れて行ってくれた人?」
「うん。そうだけど」
「俺はあの人あんまり信用できない」
「どうしてよ」
黙々と料理をしてくれているけど
声はいつもより低くて
なんだかいつもの航太には
思えなかった。
「なんか嘘っぽい」
「なにが。そんなことない」
「まぁ叶愛がいいなら俺は
何も言わないけどね。
下準備終わった。
スープは温めるだけ。
チキンはオーブンで焼けばいい。
中にちゃんと火は通ってるから。」
そういって部屋に戻っていった。
中学2年の男とは思えない
落ち着きと手際の良さ。
たまに見せる大人っぽさ。
どうして航太がそんなことを
言ったのか今はまだ全然
わからなかった。
まさかもうすぐわかることに
なるなんて思ってもみなかった。
