き み だ け




モヤモヤした日々は

結局文化祭が終わるまで続いた。


今日で文化祭が終わるっていうのに

あたしは何も楽しめなくて

光弘ともあまり話していなかった。

「叶愛」

「あ、知夏」

「片づけ?」

「うん。実行委員は片づけなの」

「光弘くんと話した?」

「全然話してないよ」

「このままじゃだめなんじゃない?」

「…そうだよね」

わかってる。

こんなことで幸せを失いたくないの。

「私もね、修二のことを全部

知ってるわけじゃないの。

隠し事もあると思う。

でも今すぐ全部知るのは

無理でも時間をかけて知っていけば

十分幸せだって思ってる。

それじゃだめなの?」

あたしは欲張りすぎてたのかも

しれない。それで十分じゃん。

こんなことでせっかくの

幸せ壊す方がもったいない。

「光弘くん門のところで

待ってたよ」

あたしは知夏に片づけを

任せて教室を飛び出して

門に向った。

「光弘っ」

「…叶愛」

泣きそうな顔で微笑む光弘。