き み だ け




「叶愛の言いたいことは

よくわかるよ。でも私の気持ちは

叶愛にはわからないから。

じゃあ私こっちだからまたね。」

美華の笑顔の裏には

いったい何があるのか

わからなかった。

あたしにはわからない…

じゃあ光弘にはわかるの?

陽平にはわかる?



「ただいま」

「あ、叶愛。これ朝、

ポストに入ってたけど

急いでたから。陽くんから

みたいだけど切手はってなかった

から、届けてくれたのかしら」

家に帰るとお母さんから

白い封筒に入った手紙を

渡された。

“叶へ

お前は俺がいないと何もできない。

そう思ってた。

でももう今のお前には光弘がいる。

安心して離れることができる。

絶対に泣くなよ。幸せになれよ。”

陽平は何も言わずに行った

わけじゃなかったんだ。

あたしにはわからないことだらけ。

光弘のことも

美華のことも全然わからない。

これであたしは幸せに

なれるのかな。

泣かずに2年も頑張れるのかな。

あたしはやっぱり陽平がいないと

何もできないのかな。