き み だ け




図書館に着くとやっぱり

朝は人が少なくて落ち着く。

いつも窓際の席に座る。

中学の頃はよく陽平と

図書館で一緒に勉強していた。

その習慣が取れなくて

いつもテスト勉強はここに来てしまう。


いつもの窓際の席に向かった。

「…え」

その窓際の席に座っていた1人の

男の子。後ろ姿が陽平に

そっくりだった。

陽平が来ているわけないと

わかっていたけれど、

少し期待しながら近づいてしまった。

「…あ、小島さん」

「あ、ごめんなさい。…橘君?」

陽平ではなく同じクラスの橘君だった。

「あ、ここ座る?」

「あ、うん。ありがとう」

いつも同じクラスにいても

軽く話すくらいで

そんなに親しいわけではない。

橘君は男子の中心にいて

クールでかっこよくて

男子からも女子からも好かれている。

よく見ると横顔も陽平に

どことなく似ている。

こーやって陽平を基準に

いろいろ考えてしまうのは

まだ好きな証拠なのかもしれない。

「あんまり学校で話さないから

なんか違和感あるな」

「そーだね。橘君よくここ来るの?」

「あぁ。静かだし。

てか光弘(みつひろ)でいいよ」

そんなに親しくもないのに

下の名前で呼ぶのは抵抗がある。

「あ、呼びにくいか」

「あ、ちょっとだけね。」

「まぁだんだん仲良くなったら

呼んでくれたらいい」

「あ、わかった」

橘君が隣で勉強してるのを

ついついみてしまう。

隣で陽平が勉強してるみたい。