き み だ け




『叶が幸せだってわかって

安心した。だから行く決心が

ついたんだ。』

「2年の文化祭。」

『え?』

「それまでには帰ってこい」

『無理だって。3年って言ったろ?』

「2年の文化祭のミス大葉と

ミスター大葉を決めるコンテストで

ちゃんと勝負つけよう。」

『なんだよそれ』

「それまで叶愛には黙ってる」

『なるべく早く戻れるようにする』

ちゃんとあいつが戻ってきてから

戦うしかない。

このままじゃやっぱり俺は

あいつに負けたままだ。

―光弘side end-


「陽平に連絡は?」

「…とれない。」

「ちょっと待ってろ」

光弘が走ってどこかへ行ってしまった。


「叶愛」

しばらくして美華と光弘が

走ってきた。

「えっ、美華?どうして光弘と」

「話は後。とりあえず陽平と電話

つながってるから早く出なさい」

美華が携帯を渡してくれた。

「…陽平」

彼女の前なのに…

彼氏の前なのに…

でも涙が止まらない。