「あ、もしかして陽平とお友達?」
「あ、うん」
待って。ってことは
陽平…今日留学?そんな。
何も聞いてないよ。
「美華、陽平って何時の飛行機?」
「さぁ。詳しくは知らないけど
お昼1番の便でいくっていってたよ」
今が10時半すぎ。
何時の便かわからないから
間に合うかもわからない。
「ごめん美華、また後で」
とりあえずあたしは知夏の元へ走った。
「知夏っ」
「どうしたの叶愛?」
「お昼1番の飛行機の便
何時だかわかる?」
「どうしたの」
「お願い、早く。陽平が留学しちゃう」
「え?陽平くんが?待って調べるから」
お願い陽平。
行かないで。待って。
「12時10分発だよ」
…間に合わない。全然無理だ。
嘘でしょ?
プルルルルル…
何度電話してもかからない。
どうして何も言わずに行ってしまったの。
「…叶愛?」
「…光弘」
光弘の顔を見た途端涙が止まらなくなった。
「…どうしたんだよ。何かあったのかよ」
「陽平が…」
光弘の前で陽平の話は
したくなかった。
もう引きずっているわけでも
ないし心配をかけたくない。
でも…。
