き み だ け




「陽平?聞いてんの?」

「お前さ、光弘と付き合ってんの?」

「へっ?付き合ってるけど

どうして?光弘と知り合い?」

「…幸せか?」

悲しそうに微笑んでいるように

みえたのはどうしてだろう。

「幸せだよ。とっても」

「そ。ならいい。」

陽平はあたしの肩に

そっと触れて教室を出て行った。

彼女とうまくいってないのかな。

どうかしたのかな。

すごく気になったけど

前のように愛しさがこみあげてくる

わけではなかった。


そういえば陽平は8組。

今度委員会のときに

美華に陽平の彼女のことを

聞いてみよう。

彼女と何かあったなら

少しくらい話を聞いてあげられるかも

しれないしあたしの幸せを

願ってくれるなら

あたしもちゃんと幸せを

願ってあげたい。



―光弘 side-

ブーブーブー

“着信 陽平”

夏祭りの日以来陽平とは

連絡を取っていなかったから

なんか変な感じだ。

「もしもし」

『もしもし光弘か』

なんだか電話越しの陽平は

いつもと違うように感じた。