ドンドンドン

「叶愛、起きろ。病院行くぞ」

昨日は全然眠れなかった。

あれから光弘くんから

連絡も来なかった。

「航太、今日部活は?」

「昼から行くから

さっさと朝飯食って用意して」

足首は昨日に比べたら少し

腫れていたけど傷はだいぶましだった。

ピーンポーン

「あ、あたしでようか」

「俺が出るから階段落ちないように

ゆっくり降りてリビングで

座っとけ」

言い方は冷たいのに言ってくれることは

優しい。

「あ、おい。叶愛」

玄関で航太があたしを呼んでいる。

「なに」

階段を下りて玄関を見ると

驚いた。

「…どうして」

「おはよう」

光弘くんが立っていた。

「少し話がしたいんだけど」

「あ、でも叶愛これから病院

いくんですけど」

「俺、代わりに連れて行っちゃ

だめかな」

「…でも」

「じゃあお願いします」

「ちょっと、航太」

「俺、本当は部活1日なんだ。

顧問の先生には午後から行くって

言ったけど今から行けば

間に合うし」

航太はあたしの肩を

ポンッとたたいて軽く微笑んでから

部活のカバンを持って

部活へ行った。