―光弘side-
プルルルル
『もしもし』
「ちゃんと水族館にきた」
『そう。ありがとう』
「陽平、もう今日まででいい?」
『どういうこと』
「悪いけど俺、小島さんのこと
ほっとけなくなった」
『叶のこと好きってこと?』
「わからない。でももう陽平のことで
悲しい顔をされるくらいなら
たくさん笑っててほしいって思う。」
『じゃあ好きにすれば?』
「もうお前には関わらない。
だからお前も小島さんに関わって
あげないで。」
『わかった今日までおつかれ。』
陽平、ごめんな。
俺、お前をやっぱり許せないから。
お前の大事なものがほしい。
―光弘side end-
「小島さん、お待たせ」
「ありがと」
「はい、どっちがいい?」
「へ?」
ジュースを渡されたあと
手を前に出された。
「右か左か」
「じゃあこっち」
橘くんの左手を触った。
「はい、開けてみて」
小さな袋の中には
青いクラゲのストラップが
入っていた。
「うそ、これ」
「あげるよ」
「反対は何が入ってたの?」
「え?同じやつ」
橘くんは照れた顔で笑っていた。
つられてあたしも笑っていた。
「今日は本当にありがとう。
じゃあまた学校で」
「うん、また」
駅で別れて家に帰った。
