き み だ け


『じゃあ』

「あ、待って」

『ん?』

「今どこ?」

『家だけど』

「今から行く」

あたしはそういって電話を切った。

電車に乗ってる間も早く陽平に

会いたくてそわそわした。

降りてからあたしは猛ダッシュ。

全速力で陽平の家に向かった。

家の前に陽平が立っている。

少し遠くに見えたあたしに

大声で陽平は声をかける。

「そんな走ってどーしたわけ。

こけるぞ」

あたしはそんなこと関係なく

走り続けて

陽平の胸に飛び込んだ。

「わっ、どうしたんだよ」

ハァ、ハァ、ハァー…

「陽平、大好き」

「えぇ?なんだよそれ」

そういいながら照れた笑顔で

あたしの顔を見る陽平が

愛おしかった。

そのまま強く抱きしめてくれた陽平を

もう離したくないと思った。