きっと光弘を手放すのは
今で間違ってない。
「あたしたちは今本当に必要と
してるものを手放そうとしてる。
それはやっぱり間違ってるよ」
あたしの言葉に光弘は顔を上げた。
「確かに俺、美華子に告白されて
ちゃんと話し合ってたら
今どーなってたんだろって思った。
でも何考えてんだって思って、
何度も自分に言い聞かせた。
俺の彼女は叶愛だって。」
「あたしは光弘のことが大好き。
本当に一緒にいるだけで楽しくて
彼女としての間も友達としての間も
本当幸せだったの。それは
これからもずっと変わらないよ。
だからこそ幸せになって欲しいの。
誰よりも光弘には幸せになってほしい。
美華のこと幸せにしてあげて。」
「俺も叶愛のことは大好きだ。
俺も本当幸せだった。でも俺は
叶愛には笑っててほしい。
心の底から幸せを感じて笑って
いられる相手はきっと陽平だけだから
俺たち別れよ。」
こんなに穏やかな別れ話初めてだ。
お互いがお互いに本当に
必要としてる人を手放す前に
けじめがつけられてよかった。
「これからもずっと俺は叶愛の
1番の男友達でいるから
これからもよろしくな。」
そういって立ち上がった光弘は
あたしに手を出してくれた。
「今までありがとう。
これからもよろしくね」
あたしはそっと光弘の手を握って
優しい握手をした。
そのままそっと引き寄せて
強く抱きしめてくれた光弘は
とても温かかった。
