しばらくあたしはその場に

立ち尽くしてしまった。

今何が起きたのか

わからなくてただただ涙が

こみあげてきた。そのまま

あたしは駅に向かった。

「ホームそっちじゃないけど」

「…陽平」

改札を通ったところで陽平が

待ってくれていた。

あたしは陽平の前で大粒の涙を

流してしまった。

そんなあたしをそっと抱きしめて

くれる陽平の優しさに

もっと涙がこみ上げてきた。

「…優しくしないでよ。」

あたしは陽平の胸をたたいた。

それでも陽平は何も言わずに

そのまま抱きしめていてくれた。



「おい」

しばらく泣いて落ち着いた頃

駅のホームで電車待ちを

していたあたしに

ミルクティーを差し出してくれた。

「…ごめんね」

「謝るくらいならもう泣くなよ」

「…うん」

「叶、俺は叶が笑っていてくれると

思って身を引いた。光弘と幸せに

なってくれると思ってた。

なのに泣いてばっかじゃねーかよ」

陽平の心配そうな顔をみて

胸が痛んだ。