20分後、陽平は出てきた。

「光弘、今日は8時までだってさ」

「ありがと」

「いいよ、ちょうど夏季講習明けから

塾戻るって話もできたし。」

「そっか。じゃあ夏休みは行かないの?」

「あぁ、普通に授業入れてもいいけど

生活リズムも戻していきたいし

夏休み明けからでいいかなって」

「そーなんだ。ごめんね、体調まだ

本調子じゃないのに」

「いいよ。それよりどうする?

まだ6時過ぎだけど。」

「大通りのファミレスでご飯でも

食べてくるよ。陽平は帰ってくれて

大丈夫だよ。本当にありがとう」

「いいって。8時までは

一緒にいるから一緒に飯いこ」

「でも…」

陽平の優しさに甘えてしまうのは

悪いことだよね。

「…叶愛?」

「…光弘」

「どうしてここに」

「光弘こそ8時までじゃ」

「40分まで休憩だから。

陽平が時間聞きにきたのはこのことか」

陽平はあたしの背中を

押して、あたしの目を見て

うなずいてそのまま駅へ向かって

帰っていった。