き み だ け




結局8時過ぎの電車に乗って

駅で降りてから美華子とわかれて

家に着いたのはもう9時前だった。

携帯を充電して30件を超える

不在着信と50件を超える

LINEが来ていた。

ブーブーブー

“着信 修二”

「もしもし」

『もしもしじゃねーよ、

お前何してるんだよ』

「塾のテストが長引いて

今家帰ってきたところ」

『嘘つくな。お前と同じ塾の

サッカー部のやつと7時前に

神社で会ってんだよ』

「…」

『叶、何時まで待ってたか

わかってんのかよ』

「知らない」

『8時過ぎまでずっと1人で

待ってたんだぞ。たまたま陽平が

戻ってきて神社の祭りに

きてたから叶のことは任せたけど

きっと叶、泣いてたぞ』

「…うそだろ」

『とりあえず連絡してやれよ』

1時間も待ってたなんて。

LINEを見ると

“まだ塾かな?”

“神社の入り口で待ってるんだけど

今どのあたり?”

“何度も連絡してごめんね。

連絡ください”

“もう1時間過ぎたからそろそろ

帰るね”

たった4件だけだけど10分おきに

連絡が来ていた。