き み だ け




―光弘 side-

もう時刻は7時をとっくに

過ぎていた。塾を出て美華子と

駅で今までのことを話して

しまったせいで

もう叶愛との待ち合わせには

全然間に合っていない。

連絡をしようにもさっき電源が

切れてしまった。

駅から急いでも神社までは

40分はかかる。

8時を過ぎても叶愛が神社で

待っているなんて考えられない。

「ごめんね、光。叶愛との

デート台無しにしちゃったよね。」

「行くなって言ったくせに」

「そうだよね。本当どうかしてた」

「まぁもういいよ。仕方ねーし。

8時までは付き合ってやるからさ

もう8時の電車で帰ろうぜ。」

「…うん」

彼女がいるっていうのに

俺は何してんだろう。

最低だよな。本当ごめん、叶愛。

1人ぼっちにさせて。

でも美華子のこともほっとけないこと

わかってほしい。自分勝手なのは

わかってる。でも今どうしていいか

わかんねーんだ。