ジャリ、と砂を踏む音がして、顔を上げたら、泉水がそばにいた。

「だったら、そう言えばいいんだよ。」

泉水は、あきれたようにそう言った。
それから、私の頭をポンポン、と撫でた。

「友だちっていうのは、うそはつかないの。見栄はったり、かっこつけたりしないの。」

「…うん。」

「てかさぁ。恵玲奈に言われなくても、俺はもう恵玲奈と友だちだと思ってたんだけど。」

「え…?」

「だから、逆にショック受けたわ。」

「…ごめん。」

「いいけど。」

泉水を見たら、苦笑いをしていた。

「どっか遊びに行きたいなら、連れてってやるよ。暇だったらな。」

「本当?」

「うん。でも、恵玲奈は一応、ヒトヅマだから、旦那さんに許可もらっといて。いい?」

「うん。分かった。」

「あとな。」

泉水はにやり、と笑った。

「ややこしいのは嫌だから、俺を好きになるなよ。」

「分かった。」

私はこっくり、と頷いた

「泉水を絶対に好きにならない。約束する。」

「好きになったらさようならだからな。」

「分かった。好きになったらさようならね。」


私は笑った。
それは大丈夫。

やっと出来た友だちだ。
愛や恋より、数倍も大事な存在なのだ。

「ねぇ。泉水いつが暇なの?」

泉水は私の頭を今度はぐりぐりと撫でた。
チャーリーにするみたいに乱暴に。


「連絡先、教えろ。明後日なら空いてる。」


私がチャーリーなら、きっと短い尻尾をぶんぶん振ってる。
今なら、チャーリーの気持ちが分かるよ。

チャーリー、泉水はいいやつだね。

あんたがなつくの、わかるよ。