秘密の歌声













「ごめん…がんばって」
バトンを渡す瞬間、そう呟いた。
すると、かすかに豊永くんの声が聞こえた。

「後はまかせろ」

その瞬間あたしの周囲はスローモーションになり、豊永くんの背中が大きく見えた。

…やっぱ…かっこいいや。
そのまま足を引きずりレーンから離れて豊永くんを見る。

すごい、接戦だ。
あと30mほどのところで豊永くんが少し負けている。

あたしのせいで…。