ふと、彩が居ないことに気付いた。

リビングの方から…。
「止めて!お願い!」

…彩!…



サンダルを脱ぎ捨て
中へ。

蒼甫が、彩を抱きしめて居た!


俺は…おもわず、
「その手離せよ!!触るんじゃねぇ!」

ぐいっと蒼甫を引き剥がし
彩を抱きしめた。

「…勇くん…。」半泣きの彩。
彩の頭の上にそっと顎をのせ、
「大丈夫か?俺の側にいろ?」

「…勇くん…。ありがとう…。」
ぎゅっと、しがみつく彩。

俺は、蒼甫を睨み、
「彩は、俺じゃないとダメなんだよ。
身体が、俺を欲しがるんだ!夫婦は、
そうゆうもんだ。わかったか?!」

悲しみと、自分のした事への情けなさで
下唇をぐっと噛み
俯く蒼甫くん。

「俺、帰ります。すみません。」

玄関のドアがバタンと閉まった。