「俊〜」


「俊くぅ〜ん」


朝っぱらからムサ苦しい声が耳に響き渡る。

俺が学校に着いた瞬間、気分が悪くなりそうな程の甘ったるい声と。
女の群れが周りに集まる。


こんな蒸し暑い日にも女達は構わず、俺の腕や隣に引っ付いては離れ引っ付いては甘い声を出す。


まぁ…いつもの事だから俺は全部無視。


だけど…そんな俺だって、好きな奴ぐらいは…いる。


「嘉穂~」


そんな声が女達の声の間から聞こえた。


「あっ勇気〜」


後ろからそんな会話が聞こえて来た。


最近…嘉穂と他の奴ら(男)が話してるのを聞くと…

なんだかイラっと来る感覚が胸を走る。


そんな感覚を覚えたのは中学の頃。


俺は幼馴染だからか嘉穂からたまに相談をのる事もあった。



ある日。毎日の様に行き来していた嘉穂の部屋に

参考書を借りようと嘉穂の部屋に入った瞬間。




「俊……ちょっと相談のってくれる?」


と嘉穂がイキナリ俺の服を掴みながら気まずそうに言ってきた。


……イキナリ何?


いつもは普通に接していたけど、こう言うフインキになると嘉穂の部屋に緊張感がる。



「まぁ…いいけど?」


何故だか俺は嘉穂の頼みを断れ無かった。


「あっ…ありがとう!」


一気に嘉穂の顔が明るくなる。

ドキッ…


嘉穂のその表情に思わず胸が高鳴った。



「で…?相談って?」


どうせ宿題とかそんなんだろうと油断してた俺は嘉穂の言葉で一気に冷めた。


「あ…のね。私…今好きな人がいるんだけどね…」


……は?

嘉穂の顔を見ると顔を少し赤くしていて、照れた表情を見せていた。