ザワザワとした胸騒ぎを感じる。


きっと大丈夫だ。自分の見間違いだ。


そう自分に言い聞かせるも、気持ちは暗い。


服が肌にくっついて動きにくい。


それでも鏡花は腕を頭にかざして豪雨の中掛けていく。


鏡花はいつもいつも通っていた道をひたすら走る。


ぬかるんだ地面に足を取られ、転びそうになる。

踏んだ側から足に泥が跳ねる。


そしてようやく鏡花はあの場所に辿り着いた。