「明日は学校を休んでゆっくりしてなさい」


「…うん、そうする」


祖母は二度、優しく鏡花の頭を撫でて階段を下りて行った。


鏡花は撫でられた頭をそっと押さえる。


祖母は何か鏡花にあったなと感じると、こうして二回撫でてくれた。


目の奥が熱くなり、鼻がツンとする。


右目からツゥーと涙が溢れる。


祖母は何も言葉は掛けないが、いつも傷付いた鏡花を静かに励ましてくれた。


鏡花の心は雪解けを始めた山のように暖かな気持ちに包まれていく。


更に涙が溢れる。


鏡花は心にある決意を秘め、静かに泣いた。



そのとき外は黒い雲が覆いつつあった。


雨が来る。