「桜花!」


鏡花はベッドの上でばっと体を起こし、手を伸ばした。


しかし、伸ばした手は空を掴む。


「はっ、はっ、はっ……」


心臓がバクバクと脈打ち、キュッと締め付けられるような感覚がした。


嫌な汗が頬を滑り落ちる。


全身に汗をかいていて気持ち悪い。


「すっ、はーー」


鏡花は荒い息を整えるため、深く吐き出した。


やっと落ち着いた鏡花はまだ夢から覚めていない気分だった。


鏡花はゆっくりと部屋に首を巡らせる。


外も周りも真っ暗だ。


夜なのだろう。部屋は電気をつけていない。


そんな闇の中、闇に白く浮かぶ白い蛇がベッドの近くにいた。


鏡花は特に驚きはしなかった。


それは以前にこの部屋でこの蛇を見たことを憶えていたからだ。