「え、なんで! さっきまで近付けたのに!」 先程までは触ることはできなくても、近づくことはできていた。 しかし、それが今はできない。 「桜花! 桜花!」 鏡花は必死に見えない壁を叩き、叫ぶがあちらには聞こえていない。 「そんなところで何してるの?」 「っ……」 鏡花が声を掛けられたときの言葉だ。 今でも覚えている言葉だ。 しかし、闇が世界を黒く染め上げていく。 「待って! 待って桜花!」 鏡花は手を伸ばそうとするが届かない。