ふわりと吹く風に大枝を揺すり、花を散らす。


ひらひらと舞う桜吹雪は風に乗ってどこかに去っていく。


幼い鏡花は息を切らしながら、それを見ていた。

そして覚束ない足取りで木の根本まで行くと、体育座りをしてその膝に顔を埋めた。


幼い鏡花は身動ぎ一つせずそうしていたが、よく耳を済ませると押し殺したような泣き声が聞こえた。


そう、これは初めて桜花に会った日の光景だった。


一人で泣いていたところに突風が吹く。


桜が勢い良く散っていく。


幼い鏡花は風に煽られて地面に手をついた。


そのとき、少し離れた所から自分を見ていた鏡花は、どこからともなく桜花が現れたのを見た。


「桜花…!」


鏡花は近付こうと足を踏み出したが、何か見えない壁に阻まれる。