そんな中、がむしゃらに走る子供がいた。 それもまた幼い鏡花だった。 しかし、この光景ははっきりと覚えていた。 (もしかして……) 鏡花は走って行く自分を追いかけた。 幼い自分は田んぼのあぜみちや小さな川に架かった橋を渡り、森の奥に入って行く。 この道は鏡花がある人に会うために通っている道だった。 (やっぱり、この光景は……) 森を走り抜けたその先にはあの、大きな桜の木があった。