◇◇◇


体が浮いたような感覚がして鏡花は目を覚ました。


漆のような闇。


それが目の前に広がっていた。


「ここどこ?」


呟いてみるが返事をするものはどこにもいない。

鏡花は心細さを押し殺し歩き出す。




進んでも進んでも続くのは闇ばかり。


自分が前に進んでいるのか、後ろに進んでいるのか全く分からない。



ふと、どこまでも続くと思われた闇に小さな白い点が見えた。