鏡花は桜花に手を差し出されてやっと現実に戻ってきた。 鏡花は桜花の手に自分の手を重ねたまま、桜花を観察する。 桜花は白を基調とした着物を身に付けていた。 青色の刺繍で川を表現している綺麗な着物だ。 髪は鏡花と同じ黒髪で、目は男性にしてはやや大きめ。 青年になったばかりといった印象を受けた。 鏡花はしばらく桜花を観察していたが、さすがに居心地が悪くなったのか、桜花は声をかけてきた。 「鏡花ちゃん、もういいかな?」 「…ん」 鏡花は小さく頷くと立ち上がった。