また、好きになんてならない。



なんだか昨日とは先輩の見方が違う。

いつもは意地悪なのに、

たまに優しくするから
先輩から離れられない。

先輩のことでいつのまにか
頭がいっぱいになって

舞い上がったり

沈んだり

自分らしくなれなくて。

まるで、

中学の時に戻ったみたいだ……

「先輩、私もこの曲好きかも。」

そんな先輩に

いつもより素直に接してみる。

「CD貸してあげようか?」

「え、ほんとですか?」

「うん、家寄ってけよ。
遠回りになる?」

「だ、大丈夫です!」

案の定いつもより話がはずむ。

それどころか
CDまで貸してもらえて

今日はラッキーな日かもしれない…

本当は
先輩の帰り道の角を曲がっちゃうと
遠回りになるけど
こんなラッキーを棒にふることなんてできなくて

こくこくと頷いた。