また、好きになんてならない。



「先輩が何人も彼女をつくってるから…!!
そのくせに、私にキスまでして……っ。」

本当に最低な人だ。

思い出せば思い出すほど怒りが抑えきれなくなる。

私はキッと先輩を睨んだ。

「今日だって、違う女の人にキスしてたくせに!」

「………なんだそういうこと。」

先輩は
私の話をきくと呆れたように髪をわしゃわしゃと撫でた。

「お前みたいな女ってさ……」

先輩の手は髪から下へゆっくりとおりていく。

それとともに近づいてくる顔は
どこか冷たい表情で
瞳もくすんでいた。

「………っ」

手が唇のところまでくると
先輩はそこをすっと撫でる。

そして私にこう言った。

「お前みたいな女ってさ

…ほんと面倒くさい。」

「…………」

私はそれをきいて
何にも言えずただ立ち尽くす。

なんだろう、

この瞳を見ればみるほど
気持ちがおしつぶされていく。

吸い込まれそうな気分。

そんな中で先輩は話を続けた。

「…お前もさ、キスされて素直に喜

べば可愛いのに。

お前みたいに中々折れないやつって

本当面倒なんだよね。

自分の気持ち押し付けてきてさ。

勝手に好きになったのはお前の方だろ?」

次第に唇が震えだす。

先輩は、私に何がいいたいの?

この瞳が何かを訴えてくる。

そんな先輩が私は、少し、怖い。