また、好きになんてならない。



少し髪が茶色に染めてあって
毛先は遊ばせてある。

背も昔より
高くなっていた。

なにより
昔の先輩は私のこと
柚葉なんて呼び方をしない。

「久しぶりです、先輩……」

先輩の瞳を見れば
昔の記憶が蘇る。

顔に蹴りをいれたこと、
怒っているかな……?

少しずつ後ずさりをして
先輩との距離を開けていく。

はやく逃げなきゃ、
何仕返されるかわからない……

「…これ、拾ったんだけど。」

そう言って先輩がヒラヒラと持っているのは
私の生徒手帳らしきもの。

なんで先輩がそれを?

思い当たる点が1つだけ
今に浮かんだ。

まさか逃げようとして転んだ時に
落としちゃったのかな…

じゃあ見たのもバレてる?!

しまった……

これじゃ、逃げられない。