残り10cmの恋




「相変わらず、げんきな家族だな」




「うん、大変だよ。
ていうかさ、何で今日早いの?!」



私は、一番疑問に、思ったことを聞いてみた。

すると、竜は真面目な顔をして

「え、だって研修会だから」

と言った。



いるよね、こういう人…。

普段、早く起きないのに、大切なイベントとかがあると、誰よりも早く起きるってやつ…。

ある意味、すごいやつだけどね。

当たり前だろという顔をしている竜に
変な関心をした。


「そうですか…はいはい」



呆れた返事をしておいた。



竜の方を見ると、いつもと違う竜になっていることに気がついた。



いつも、髪型がストレートな竜が、今日は
セットしてある。


「竜、その頭にしてたら、女の子
今まで以上に寄ってきちゃうんじゃないの?」



そう言うと、竜は驚いた表情をした。



「え、そう?」



え、そう?って…。


竜は、自分が、モテていることに気づいていないのかな?


「だって、髪型!ストレートより、似合ってるから!」



「それで、女子が寄ってくる?!
輝みたいに?」



竜は、あからさまな嫌な顔をした。


「そうだよ。嫌なの?」



「だって、鬱陶しいじゃん」



鬱陶しい…?



やっぱりコイツはモテていることに気づいていない。


無意識ってやつか!!



確かに、竜は、クールだから
日頃は竜に集る女子はいないけど、バスケの試合を見に行くと
たいてい「竜くん、カッコイイ」って女子がたくさんいる。



だからかな?



それに比べ、健はお調子者だから
女の子が、日頃もよってきやすいのかもしれない。