残り10cmの恋







────気が付くと
もう家の前に来ていた。



「また明日な」



「はいはい、また明日っ」



「ぷっ…」



「笑うなっ!!」



「わるい、わるい。
バイバイ」



「ふんっ…バイバイ」



思いっきり、ドアを開けると
お兄ちゃんが、ちょうど出掛ける時だったようで鉢合わせになった。


「わっ…お兄ちゃん」



「あ、お帰り」



「ただいま…
どこか行くの?」




「花乃香とデート」




花乃香ちゃんは、お兄ちゃんの彼女。



付き合って、もう2年目。


私も、仲良くさせてもらってる。



美人で、優しくて私のお姉ちゃんみたいで…
お兄ちゃんもデレデレ。


「花乃香ちゃん?いいなぁ」




「いいだろ」



そう言うと、お兄ちゃんはニヤニヤしながら家を出た。



「いってらっしゃい」



「行ってきますー」




お兄ちゃんは、本当に楽しそうな顔をして
行った。


幸せそうだな…。