残り10cmの恋



「欲しかったけどっ…な、なんで?!」




「うーん、俺も欲しいなって思ったから
ついでに、遥のも買っちゃおうかなって…」



そう言いながら、輝はスマホにつけた水色のアルパカを見せてきた。


「買っちゃおうかなって…」



嬉しいけど、嬉しいけど!!


高いし、申し訳ないよ…。


「欲しくないの?」



そう言って、輝は少し目をウルウルさせて
こちらをじっと見つめてきた。




可愛い…………………!!




「欲しいですっ…」



そんな可愛い顔で、そんなこと言われたら
欲しいですって言うしかないでしょ…。



「良かった!!」





「でも、お金はらうよ」





「いいよ、いいよ」




「いや、良くないよっ」



私は、1500円を財布からだそうとした。




「いや、まじでいいから!
俺があげたいだけだし!」



「でも…」



「俺、もう帰るから!
また明日!
竜も、また明日な!」





「おう、バイバイー」



輝はそう言うと、来た道をものすごいスピードで
帰っていった。




「えっ…ちょっと!」