廃墟。



薄暗いマンションだなー、なんて思いながら少女は階段を登っていく。

長い長い階段を。
エレベーターなんて止まってる。
時には鼻歌なんて歌いながら少女は階段を登っていく。


「わ、蜘蛛の巣じゃん」

「ありゃ、飴が落ちてる。しかも半分溶けてない?」

「てゆーか、何階まであるんだろ」


1人ぶつぶつと呟く少女。
寂しくないのか、寂しさを埋め合わせたいのか、ずっと笑い続けている。
その間もカツンカツンと軽快なリズムは鳴り響く。